- 最初に明確な目標を設定し、AIエージェントの目的と機能をはっきりさせましょう。
- 用途に合い、サポートリソースが充実し、無料で試せるプラットフォームを選びましょう。
- 構造化されたフローとLLMによる推論を組み合わせて、スクリプト通りにも柔軟にも対応できるエージェントを作りましょう。
- ナレッジベースや各種チャネル、Webhook、プラットフォームと連携し、実際の業務フローに自然に組み込めるようにしましょう。
- テスト・公開・改善を繰り返し、分析やユーザーのフィードバックを活用してAIエージェントを磨き続けましょう。
AIエージェント技術は近年大きく進化しており、今ではAIエージェントを自分で作ることが、パソコンさえあれば誰でもできる時代になりました。
AIエージェントは主要なAIトレンドのひとつであり、今後もさまざまな業界で急速に普及していくと予想されています。
業務の自動化でもAIアシスタントの開発でも、このガイドではLLM搭載AIエージェントを自分で作る手順を解説します。
1. 範囲を定める
AIエージェント作成の最初のステップはシンプルです——何をさせたいのか?まずはエージェントの目的を明確にしましょう。
AIエージェントの実用例はたくさんあります。自分のエージェントの目的を特定することで、必要な機能や選ぶべきプラットフォームが決まります。
- 営業用AIエージェントは、商品に関する質問への回答、選択肢の提案、モデルの比較、価格情報の提供などでユーザーをサポートします。
- カスタマーサポートAIエージェントは、顧客の課題解決、FAQや動画などのリソース共有、技術的なトラブルシューティングを行います。
- ナレッジマネジメントAIエージェントは、社内規定の検索や文書要約、従業員が必要な情報を素早く見つける手助けをします。
- リード獲得AIエージェントは、メールやWhatsAppなどのプラットフォームでターゲットに合わせたフォローアップを送り、会話を通じて情報を収集し、CRMと連携して効率的に管理します。
- 人事AIエージェントは、従業員からの社内規定に関する質問に答えたり、入社手続きのサポートや休暇申請の対応を行います。
- ECサイト向けAIエージェントは、注文状況の確認や在庫チェック、ユーザーの好みに合わせたおすすめ提案を行います。
特定業界向けにも、複数の業務をこなすAIエージェントを作ることができます。たとえば不動産向けAIエージェントなら物件提案や書類管理、顧客対応が可能ですし、ホテル向けAIエージェントなら予約受付やハウスキーピング依頼、追加サービスの販売もできます。
拡張性のあるプラットフォームを使えば、可能性は無限大です。設計次第で、ほぼあらゆる業務を自動化できます。
範囲が決まれば、どのプラットフォームを使うか判断できます。
2. プラットフォームを選ぶ
AIエージェントのフレームワークは数多く存在します。迷ったら、私たちが厳選したおすすめAIプラットフォーム9選から探してみてください。
ここで各プラットフォームの比較はしませんが(正直、自社製品が一番だと思っています)、選ぶ際に重視すべきポイントをいくつかご紹介します。
AIプラットフォーム選びで確認すべきこと:
- 学習リソースが充実していること。どんなツールでも最初は慣れが必要なので、しっかりサポートがあるか確認しましょう。
- 目的に合っていること。カスタマーサービス向けのプラットフォームを、営業用やマルチエージェントシステムに使うのは避けましょう。
- 無料プランがあること。費用をかける前に、または無料のまま、試せるかどうかも大切です。
オープンソースが必要なら、オープンソースAIエージェントも多数あります。
AIエージェントビルダーを選んだら、いよいよ自分だけのAIエージェント作りが始まります。
3. 指示と変数を作成する
AIエージェントは完全にオリジナルなものになります——用途や範囲によって全く異なります。まずは選んだプラットフォームに慣れ、自分の計画に合わせて使いこなしていきましょう。
まずはAutonomous Nodeから始める
残念ながら、すべての「AIエージェントプラットフォーム」で本物のAIエージェントが作れるわけではありません。
多くはAIチャットボットを提供していますが、AIエージェントに不可欠な「自律的な意思決定」機能がありません。
Botpress Studioでは、Autonomous Nodeを使うことで、構造化フローとLLMの使い分けを自動で判断できるAIエージェントを作成できます。開発者はAutonomous Nodeに自然な言葉で指示を与えるだけです。
数行のシンプルなテキストで、AIエージェントにやってほしいことや、その際の振る舞いを指定できます。性格や範囲、目的も数分で定義可能です。
AIチャットボットの一部は構造化すべきです——たとえば挨拶やセールストークなど。しかし会話の中には、LLMに任せたい部分も出てくるでしょう。
情報収集用の変数を作成する
AIエージェントはユーザーにいくつか質問をします。例えば:
- 旅行用AIエージェントなら、どの都市の旅程を希望するかを尋ねる
- メンタルヘルスAIエージェントなら、今の気分を尋ねる
- カスタマーサービスエージェントなら、どんなサポートが必要かを聞く
会話フローによって、情報収集のために1つ以上の変数を設定することになります。
例えば旅行用AIエージェントなら、行き先、航空券の有無、人数、予算、希望アクティビティなどを尋ねるかもしれません。
営業エージェントなら、ユーザーの希望を聞いて、その答えに応じて会話フローを分岐させることもできます。
4. AIエージェントを連携させる
連携のないAIエージェントは、ただの自作ChatGPTにすぎません。AIエージェントの価値は連携によって決まります。
AIエージェントと連携できるものは多岐にわたります——柔軟なプラットフォームなら、ほぼ無限の選択肢があります。
これらの連携によって、AIエージェントは既存の業務フローに自然に組み込まれ、「つながりのない追加機能」ではなくなります。
ナレッジベース
製品在庫や地域の条例、ソフトウェアのドキュメントなど、独自情報をエージェントに「知ってもらいたい」場合は、ナレッジベースを通じて情報を共有することが多いです。
ナレッジベースを使えば、AIエージェントが正確かつ最新の情報を伝えられます(ChatGPTのような汎用チャットボットとは違います)。
ナレッジベースは、表や文書から本格的なデータベースまでさまざまです。社内ドキュメント、商品データベース、コンプライアンス資料、エンタープライズ検索システムなどが例です。
最も強力なシステムは、検索拡張生成(RAG)を使って文書を解析し、関連情報を抽出します。(RAGはAIエージェントプラットフォームに標準搭載されていますのでご安心ください。)
チャネル
チャネルは、ユーザーがAIエージェントとやり取りする手段です。たとえばWhatsAppチャットボットはWhatsApp経由で、DiscordボットはDiscord上で会話します。
顧客向けAIエージェントの一般的なチャネルはウェブサイトのウィジェットです。Webチャットとも呼ばれ、サイト訪問者がエージェントと直接やり取りできます。
AIエージェントは1つのチャネルだけに限定されません。Facebook Messengerから情報を受け取り、Slackで通知することも可能です。あるいはTelegram、SMS、メールなど複数の連絡先に一斉送信するAIエージェントも作れます。
Webhooks
トリガーに応じてAIエージェントにアクションをさせたい場合は、webhookが必要です。Webhookは自動イベント通知で、AIエージェントがリアルタイムに他システムと連携できます。
あるシステムでイベントが発生すると、webhookが別のシステムにリクエストを送信します。これにより人手を介さずにアクションを実行できます。Webhookの活用例は次の通りです。
- Salesforceで新しいリードが発生すると、AIエージェントがスコア付けと割り当てを行います。
- カスタマーサポートのチケットが発生すると、AIエージェントが分類やエスカレーションを実施します。
- 注文状況が変わった際に、AIエージェントが配送状況の更新を送信します。
- 新入社員には、AIエージェントから研修資料や会議招待が届きます。
- セキュリティアラートが発生すると、AIエージェントが分析し、ITチームに通知します。
プラットフォーム
AIエージェントの統合の中でも、最も難しく、最も刺激的で、最も役立つのがプラットフォームです。
難しさに尻込みしないでください — 多くのプラットフォームにはAIエージェント向けの事前構築済みインテグレーションが多数用意されています。
AIエージェントと連携できるプラットフォームの例:
- HubspotやSalesforceなどのCRMプラットフォーム(リードの管理や育成に利用)
- ZendeskやIntercomなどのヘルプデスクプラットフォーム(カスタマーサポートやチケット対応に利用)
- Mailchimp(または再びHubspotなど)のようなマーケティングオートメーションツール(外部メール送信に利用)
- OracleやSAPなどのERPシステム(在庫管理の効率化に利用)
- A分析プラットフォーム(Google Analyticsのようなもの、エージェントの成果測定に利用)
例えば、HR向けのAIエージェントは、企業の主要なポリシー文書をナレッジベースとして活用します。従業員が特定の状況への対応方法を尋ねると、チャットボットはそのポリシー文書を参照して回答します。
5. テストと改善
AIエージェントを構築した後は、次にそれを磨き上げる段階です。テストと反復は成功のために不可欠ですが、リリースを急ぐあまり見落とされがちです。
AIエージェントプラットフォームには、スタジオ内でシミュレーターが用意されているはずです。これを使ってAIエージェントとのやり取りを練習できます。これはテストの第一歩であり、開発中にエージェントを微調整する重要なプロセスです。
初期構築が終わったら、URLを使って友人や同僚にエージェントのサンプル版を共有できます。この方法でテストすることで、本番導入前に機能性を確認できます。
テストを重ねることで、AIエージェントをさらに改善できます。そして、このプロセスはエージェントを導入した後も続くことを覚えておいてください。これはごく普通のことです。
6. AIエージェントの導入
AIエージェントの準備が整ったら、いよいよ導入して実際に活用しましょう。導入方法はいくつかあります:
- ウェブサイトのウィジェットとして導入する。
- URLを通じてユーザーと共有する。
- WhatsApp、Instagram、Telegram、Facebook Messenger、Slackなどのメッセージングチャネルと連携する。
- 自社の社内掲示板や独自ソフトウェアなど、特定のプラットフォームやサービスと統合する。
AIエージェントが稼働中であることをユーザーに必ず伝えましょう。存在を知られなければ、十分に役割を果たせません。明確なコミュニケーションが、AIエージェントを有用なリソースにする鍵です。
注意:複数のAIエージェントが同じ環境で動作するマルチエージェントシステムを構築する場合は、AIエージェントのルーティング(トリガーを特定のエージェントに振り分ける仕組み)も計画する必要があります。
マルチエージェントシステムが目標達成のためにどれだけ協力できているかを測るには、マルチエージェント評価システムが必要です。これにより、複数エージェントが連携する際の複雑さにも対応できます。
7. モニタリングと改善
AIエージェントプロジェクトは導入で終わりではありません。むしろ、導入が始まりです。公開後、AIエージェントはあなたのために働き始めます。
優れたAIエージェントプラットフォームは、継続的な分析機能を提供し、ユーザーがいつエージェントを利用しているか、どんなトピックを尋ねているか、どのプラットフォームでやり取りしているかなどのインサイトを得られます。
AIエージェントの分析活用方法をさらに知りたい場合は、AIチャットボット分析に関する記事もご覧ください。
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よくある質問
1. AIエージェントとチャットボットの違いは何ですか?
AIエージェントとチャットボットの違いは、チャットボットが通常はあらかじめ決められたスクリプトや分岐に従うのに対し、AIエージェントは大規模言語モデル(LLM)を活用して自律的に状況に応じた判断を行う点です。AIエージェントは会話だけでなく、適応的かつタスク指向に設計されています。
2. 同じエージェント内でOpenAI、Claude、Mistralなど異なるLLMを使えますか?
はい、プラットフォームがマルチモデルオーケストレーションに対応していれば、OpenAI、Claude、Mistralなど異なるLLMを同じAIエージェント内で利用できます。これにより、コストや速度に応じて最適なモデルにタスクを振り分けられます。
3. ナレッジベース以外でAIエージェントを学習させる方法は?ファインチューニングは可能ですか?
多くのプラットフォームではAIエージェントの直接的なファインチューニングはサポートされていませんが、高度なプロンプト設計やRAG(検索拡張生成)を使ってエージェントの挙動を調整できます。本格的なファインチューニングには、モデルを別途トレーニングし、API経由で統合する必要があります。
4. AIエージェントに独自の個性や話し方を持たせられますか?
はい、プロンプトの指示を設定することで、AIエージェントに独自の個性や話し方を持たせることができます。このカスタマイズにより、ブランドのトーンに合わせたエージェントを作成できます。
5. AIエージェントが回答できる範囲を制限する方法はありますか?
特定のツールやナレッジソースへのアクセスを制限したり、ワークフロー内でガードレールを設けて範囲外の入力をフィルタリング・ブロックすることで、AIエージェントが回答できる範囲を制限できます。





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