- ビジネスチャットボットのROIを測定するには、解決された問い合わせごとのコスト削減や従業員の作業時間削減など、金銭的価値に紐づいた明確なKPIを設定することから始めます。
- カスタマーサポートボットの場合、ROIは人が対応した場合のコストとチャットボットが対応した場合のコスト削減を比較して算出します。通話時間や従業員の時給なども考慮します。
- HRやITなどの社内チャットボットの場合、サポートを提供するスタッフとサポートを依頼する従業員の両方のコストを含め、繰り返し発生する業務の自動化に注目します。
- リード獲得チャットボットは、リード数だけでなくリードの質も追跡し、フォームやメールへの依存を減らしつつ、見込み客の質を高めることを目指します。
チャットボットはビジネスにとって投資です。他の投資と同様に、ビジネスチャットボットのROIを測定・算出する準備が必要です。
このチャットボットROIガイドでは、以下のROIの計算方法を解説します:
- カスタマーサポートチャットボット
- 社内チャットボット(例:HRチャットボットやITSMチャットボット)
- リード獲得チャットボット
AIチャットボットやAIエージェントのプロジェクトを構築・評価したい場合、このガイドはその財務的な影響を評価し、主要な関係者に投資の正当性を示すのに役立ちます。
チャットボットのROI測定の準備

KPIを明確に設定する
当たり前のようですが、KPI(主要業績評価指標)がなければROIは測定できません。
カスタマーサービスチャットボットを構築する場合、KPIの例は以下の通りです:
- チャットボットが解決したリクエスト数
- 平均応答時間の短縮
- CSAT(顧客満足度)
- ディフレクション率(担当者への転送を回避した会話数)
- 問い合わせごとのコスト
HRやITチャットボットの場合、KPIの例:
- 従業員からのリクエストをチャットボットが対応した件数
- チャットボットによるリクエスト対応で節約できた作業時間
- 従業員が有給休暇を申請するまでにかかる時間
設計するボットの種類によって、会社のチャットボットKPIは変わります。
KPIを金銭価値に結びつける
各KPIは具体的な金額に結びつける必要があります。「時間を節約できる」や「週10時間節約できる」だけでは不十分です。毎月または毎年いくら節約できるかを計算しましょう。
AIチャットボットの導入で追加の従業員2名の採用が不要になる場合、その分のコストも必ず計算に含めてください。
まずは小さく始めて、徐々に拡大
チャットボットの効果を最初から最大化したくなりますが、当社のカスタマーサクセスチームは、まず最小限のROIを目指すことを推奨しています。
段階的な成果に注目しましょう。チャットボットが最初の範囲で効果を発揮したら、徐々に適用範囲を広げて最適化していきます。
この段階的なアプローチにより、ROIをより正確に追跡できるだけでなく、チャットボットの業務範囲が拡大しても高いパフォーマンスを維持できます。段階的な改善に注力することで、リスクを最小限に抑えつつ長期的な成功を最大化できます。
カスタマーサポートチャットボットのROI計算方法

チャットボットのROIを測定する最もシンプルなケースは、カスタマーサポートチャットボットです。
カスタマーサポートチャットボットは、顧客と企業のコールセンターの最初の接点となることが多いです。
初期変数
まずは以下を確認します:
- コールセンター担当者の時給
- カスタマーサポート通話の平均時間
- コールセンターが月に対応する通話件数
これらから、組織におけるカスタマーサポート通話1件あたりの平均コストを算出します。例えば、担当者の時給が20ドル、平均通話時間が5分なら、1件あたりのコストは5ドルです。
より優れたチャットボットは、より高い価値をもたらす
次に、チャットボットの価値を加味します。適切な期待値の設定は難しく、過大評価や過小評価されるケースも多く見られます。
価値の大きさは、以下のような要因によって変わります:
- カスタマーサポート通話の類似性(繰り返しの多い通話ほどチャットボットの価値が高い)
- チャットボットの複雑さ(単純なボットほど価値は低い)
Botpressでは、カスタマーサクセスチームがクライアントや見込み客と一緒に、現実的な価値の見積もりを設定しています。
ROIの計算方法
例として、コールセンターが月に3,000件の通話を受け、そのうち2,000件をチャットボットが対応するとします。チャットボットは毎月2,000×5(件数×1件あたりのコスト)=10,000ドルのコスト削減となります。
この数値は会社の成長とともに増加します。3~5人の採用が必要だったところを、チャットボットの補助で1~2人の採用で同じ件数に対応できるようになります。
社内従業員向けチャットボットのROI計算方法

社内チャットボットは一般的にHRボットやITボットですが、従業員同士のさまざまなやり取りに対応できます。
社内チャットボットのROI計算はカスタマーサポートチャットボットとほぼ同じですが、1点だけ違いがあります。それは、両方の従業員の給与を含めることです。
カスタマーサービスボットのROI計算ではコールセンター担当者1人分の時間とコストを含めますが、社内ボットの場合はHRやIT担当者とサービスを利用する従業員の両方の時間とコストを含めます。
初期変数
まずは以下を確認します:
- HR担当者とサービスを利用する従業員の時給
- HR対応の平均所要時間(他部門とのやり取りも含む。例:HR担当者が会計士やマネージャーに相談する時間など)
- チャットボットが対応できる月間のやり取り件数
この最後のステップでは、AIが対応できる業務を見極める必要があります。有給申請や規定に関する問い合わせはAIチャットボットで対応可能ですが、機密性の高い相談は難しいでしょう。
データに基づく設計
適切なユースケースの特定は、高価値な社内チャットボット設計の鍵です。両者の時間を最も消費している課題を特定し、チャットボットの効果を最大化しましょう。
これには、入社手続き、スケジューリング、病欠、フィードバック、評価、規定や手続きに関する問い合わせなど、繰り返し発生する業務が含まれることが多いです。
リード獲得チャットボットのROI計算方法

リード獲得ボットのROI計算は、これまでの例とは少し異なります。人間の従業員とは異なる役割を果たすためです。
リード数
クライアントの多くは、チャットボットと会話した人数でリード獲得ボットのROIを測定しがちです。生成されたリード数をKPIにするのは魅力的ですが、各リードの質を無視してしまいます。
リード獲得チャットボットによってリード数が減っても、リードの質が大幅に向上したケースも見てきました。これは珍しいことではありません。人為的なミスにより、データに基づかない判断でリードを含めたり除外したりすることがあるためです。
一方、AIチャットボットは過去のデータに基づいて理想的なリードを特定し、その基準に従います。
営業担当者が10件中7件のリードを有望と判断する場合、ボットには10件中5件を有望と判断することを目指しましょう。
初期変数
まずは以下を確認します:
- 月間ウェブサイト訪問数
- チャットボットとやり取りした訪問者数
- ボットが有望と判断したリード数
最初のステップは、チャットボットと会話する可能性のある現実的なリード数を算出することです。
ウェブサイトに100回の閲覧があった場合、実際にコンテンツをしっかり見ているのは約40人程度です。多くの訪問者はホームページを単なるナビゲーションとして利用しています。この数字を踏まえ、40人中10人がチャットボットとやり取りし、そのうち8人が実際に会話を続けることを目標にすると良いでしょう。
メールやフォームの減少
チャットボットが価値を提供しているかを確認する有効な指標は、ボットが回答できる内容について従業員が受け取るフォームやメールの数です。
チャットボットがウェブサイト訪問者に正しく情報を提供できていれば、メールやフォームの送信数は減少するはずです。
適切に導入した場合は20〜30%の減少を目指し、チャットボットの活用を最大化すれば60〜65%の減少も期待できます。
来月AIエージェントを導入する
私たちのチームは2017年からエンタープライズ向けAIチャットボットの導入実績があります。
カスタマーサクセスチームは数千件の導入経験があり、クライアントと協力してROIを高める高品質なAIプロジェクトを実現しています。
当社の柔軟性に富んだプラットフォームは、市場で最も強力なものとして評価されており、あらゆるユースケース、部門、業界に適応可能です。
今すぐ構築を始めましょう。無料です。
または、営業チームとの面談を予約して詳細をご確認ください。
よくある質問
1. チャットボットの投資回収は通常どれくらいで実現できますか?
チャットボットが十分なやり取りを処理し、CRMやヘルプデスクなど主要な業務システムと連携している場合、通常3〜6か月で投資回収が見込めます。ROIのスピードは利用量や自動化できる手作業の量によって変わります。
2. チャットボットのROI計算でよくある落とし穴やミスは何ですか?
チャットボットのROI計算でよくあるミスは、節約できた時間に金銭的価値を割り当てないこと、導入や運用コストを無視すること、非現実的な利用率を前提にすることなどです。また、離脱率の低下や対応時間の短縮といった見落としがちな効果もあります。
3. チャットボットのROIを複数年で予測するにはどうすればよいですか?
複数年にわたるチャットボットのROIを予測するには、年ごとのユーザーとのやり取りの増加、効率向上、利用範囲の拡大を見積もります。また、モデルのチューニングや新規連携などの改善コストも加味し、運用コストの基準値と比較して累積の節約額を算出します。
4. B2B企業とB2C企業ではチャットボットのROIにどのような違いがありますか?
B2C企業はサポート件数が多く、繰り返し作業の自動化によってROIが早く現れる傾向があります。一方、B2B企業はやり取り1件あたりの価値が高く、特に営業案件の絞り込みや顧客維持で大きな効果が見込めます。
5. ROIを正確に測定するために追跡すべきデータは何ですか?
チャットボットのROIを正確に測定するには、総やり取り数、解決率、自己解決率(人手を介さずに対応できた質問の割合)、平均対応時間、1会話あたりのコスト、リード転換率(営業用ボットの場合)、カスタマーサポートの業務量や人員の削減数などの指標を追跡しましょう。
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